SAP社の提供する基幹システムパッケージにはさまざまなラインナップがあり、幅広いニーズに対応しています。しかし、ユーザー企業にとっては、それぞれの製品の位置づけや違いがわかりにくく感じることもあるようです。

今回は、SAP製品の歴史をふまえながら、主要な基幹システムパッケージを簡潔に紹介していきます。製品体系を整理して、導入企業に最適な製品を選択する際の参考にしていただければと思います。

SAP製品の歴史と最新動向

SAP製品は、1973年にリリースされたメインフレーム向け会計システムのSAP R/1からスタートしています。これをベースにして、1979年にメインフレーム向けの基幹システムパッケージのSAP R/2がリリースされました。

1992年にはオープンシステムに対応したSAP R/3がリリースされ、日本では大企業を中心に広く導入が進みました。このSAP R/3を起点として、バージョンアップされたSAP ERPシリーズが順次リリースされていきます。

その後、2015年に最新世代として、アーキテクチャが再構築されたSAP S/4HANAがリリースされます。現在は、SAP R/3やSAP ERPシリーズ世代のサポート期限が迫っており、導入企業のSAP S/4HANAへの移行が大きなテーマになっています。

現在の主要4製品を紹介

現在、SAP社の基幹システムパッケージとしては、前章で紹介したR/3を起点としたSAP ERP、最新世代のSAP S/4HANAの他、中堅・中小企業向けのSAP Business OneやSAP Business ByDesignが提供されています。この主要4製品について、それぞれの特徴や位置づけを簡潔に紹介していきます。

SAP ERP

SAP ERPは、オンプレミスが基本の基幹システムパッケージです。SAP R/3からの流れをくむこの製品は、リリースされてから長い年月が経っており、バージョンアップが繰り返され多数の機能が追加されてきました。

その結果、さまざまな業種・業態に対応できる、多機能で柔軟性のある成熟した製品になりました。その一方で、データベース構造の複雑化などにより処理が遅くなったところがあり、リアルタイム性の低さが指摘されることもあります。

最大の問題は、SAP社のサポート期限が2027年末(2020年2月に、2025年末から2027年末への延長が発表されました)と迫っていることです。サポート期限はシステムの寿命に近い意味を持つため、今後対応に動く導入企業が増加することが予想されています。

SAP S/4HANA

SAP S/4HANAはSAP社が提供する最新世代の基幹システムパッケージで、オンプレミスだけでなくクラウドやハイブリッドも選択することができます。データベースはマルチプラットフォーム対応ではなく、採用できるのはSAP HANAのみです。

SAP HANAは、処理が非常に速いインメモリーデータベースです。また、データベース構造がSAP HANAに最適なかたちでシンプルなものに再構築されており、その結果、SAP S/4HANAは処理が速くリアルタイム性の高いシステムとなっています。

この他、UIが大きく刷新されるとともに、AIや機械学習などの最新技術を取り入れた分析ツールが導入されています。リアルタイム性の高い情報に基づく高度な分析を少ない手間で利用できるのも、SAP S/4HANAの大きな特徴の1つです。

SAP Business One

SAP Business Oneは中小企業向けの基幹システムパッケージで、オンプレミスとクラウドを選択することができます。他の製品と比較するとシンプルながら必要十分な機能を備えており、小さなビジネスにおいて導入しやすい製品です。

ユーザー数と使用する機能に応じてライセンス料が決められるので、低価格で利用することが可能です。事業の拡大に合わせてユーザー数を増やしたり機能を拡張したりすることで、無駄のない運用をすることができます。

SAP Business ByDesign

SAP Business ByDesignは、中堅企業向けのクラウド型基幹システムパッケージです。SAP Business OneとSAP S/4HANAの間を埋める位置づけの製品で、コストを抑えながら本格的な機能を利用できるのが特徴です。

SAP Business ByDesignには36種類のビジネスシナリオがプリセットされており、これを利用することにより短期間でシステムを立ち上げられます。グローバルにも強く、進出した海外拠点にスピーディに展開させることも可能です。

クラウド化が進むSAP製品

従来のSAPの基幹システムパッケージは、高額な費用をかけてオンプレミスに導入するのが普通でした。現在もオンプレミスを選択することは可能ですが、企業規模の大小にかかわらずクラウドも選択肢の1つに入るようになっています。

ERP市場ではクラウド化が進むことが予想されていますが、SAP社もこの流れに乗っていることがうかがえます。今後、基幹システムパッケージを選択するうえで、クラウドにするかどうかというのが重要な判断ポイントになっていくと考えられます。

(画像は写真ACより)

▼外部リンク

SAPジャパン
https://www.sapjp.com/