企業活動は生産・在庫・購買・販売・会計など多岐にわたり、各業務の担当部門間におけるやりとりが煩雑になる、情報共有に時間がかかるといった問題が起こりがちです。こういった問題を解決できるのが、いわゆる「SAP」というシステムです。

SAPは、ITコンサルタントにとっては定番とも言える存在です。しかし、一般ユーザーにはそこまで馴染みがなく、読み方を知らないこともあります。(ちなみに、「サップ」という読み方は俗称で、正式には「エスエイピー」なので注意しましょう。)

今回は、「そもそもSAPはどういうものか?」ということについて、基本的なところを解説していきます。一般ユーザーも興味を持ちやすいところなので、ぜひ参考にしていただければと思います。

ERPパッケージでトップを走るSAP

SAPは企業の多岐にわたる業務を統合的に管理することができるシステムですが、このようなシステムのことをERPパッケージと言います。企業の業務効率化に向けた投資意欲は高く、ERPパッケージ市場は年々拡大しています。

堅調に推移しているERPパッケージ市場のなかでも、SAPは世界的にもっとも支持されている製品の1つです。ガートナー社が実施した「2018年のERPソフトウェア世界市場シェア分析」の調査によると、SAPは2年連続で売上トップを獲得しています。

国内においてもSAPに対する支持は厚く、IDC Japan株式会社が実施した「国内ERM市場ベンダー別 売上額シェア実績、2018年」の調査によると、日本のERP市場においてもシェアトップを獲得しています。

SAP社のグローバル売上高は年間3兆円超

SAPの開発会社であるSAP社は、本社をドイツに置くヨーロッパの企業です。創業は1972年と古く、半世紀近くにもわたってビジネス向けのソフトウェア開発を手掛けてきたことになります。

1992年には日本法人のSAPジャパンを設立しており、日本にも本格進出しています。日本企業にERPパッケージが広まっていったのも、ちょうどこの頃です。

現在、SAP社は世界でも有数のIT企業に成長しており、2018年におけるグローバル売上高は日本円換算で3兆円を超える規模です。SAP製品はユーザー数が43万7,000社にのぼり、世界180ヶ国以上で使われています。

また、フォーブス・グローバル2000に入った企業のうち、92%がSAP社の製品を使用しているというデータもあります。今やSAP社は、ソフトウェア面でビジネスをサポートするパートナーとして、欠かせない存在になっていると言えるでしょう。

導入企業は最適化された業務フローを活用できる

SAP社の強みの1つとして挙げられるのが、長い歴史のなかで培われたノウハウです。数多くの企業に対してSAP導入事例を積み重ねていくなかで、SAP社はあらゆる業種における業務知識を蓄えてきました。

これをもとにSAP社は業務フローの改善を繰り返してきており、その最適化された業務フローを実現できるようにSAPは作り込まれています。SAP導入によって最適化された業務フローを活用できるようになるため、導入企業は業務を効率化できるわけです。

SAP社のノウハウは、SAP Best Practicesという標準テンプレートのかたちで、業種ごとにまとめられています。これを利用することで、導入企業は自社に合った業務フローをスムーズに手に入れられるようになっています。

中堅・中小企業向けソリューションも提供

もしかすると、SAPを大規模な企業向けのシステムと考えている人もいるかもしれません。確かに以前は導入に多大な時間と費用がかかったため、中堅・中小の企業が導入するのは現実的ではありませんでした。

例えば、1992年に登場したSAP R/3は、20年以上もERPパッケージのトップを走り続けたSAPを代表する製品でした。しかし、業務ノウハウの蓄積がまだ少なく、導入にあたってのアドオン開発に大変なコストがかかっていました。

しかし、現在のSAP S/4HANAでは、業務ノウハウの蓄積により機能が大幅に増えています。導入企業は自社に合った機能を選べるため、アドオン開発によるコストは最低限に抑えられるようになりました。

加えて、SAPのラインナップには、SAP Business OneやSAP Business ByDesignといった中堅・中小企業向けのものも用意されています。これらをうまく利用することで、導入企業のニーズに合ったソリューションをより少ないコストで見つけることが可能です。

ITコンサルタントにとってのSAP

IoTやAIをはじめIT技術が進化していくなかで、企業の競争はますます激しくなっています。業務の効率化を実現でき、情報共有により適時・適切な意思決定を可能にするERPパッケージの重要性は、今後も高まっていくことが考えられます。

SAP社はそのERPパッケージ市場におけるリーディングカンパニーであり、ERPパッケージの導入支援などを行うITコンサルタントにとってSAPは重要な存在です。ITコンサルティング業界で活躍していくうえでも、SAPに関する専門知識は大いに武器となることでしょう。

(画像は写真ACより)

▼外部リンク

SAPジャパン
https://www.sapjp.com/