システム配置のシンプル化

最近、多くのシステム管理者を悩ましているのが、管理対象のシステムが多くなりすぎていることが挙げられます。企業内に存在するシステム数だけユーザー・ライセンス管理をしなければいけないですし、運用保守を行える開発者をそれぞれで確保する必要があります。一方で、ERP(特にSAP)は、システムでサポートできる業務範囲がとても広いため、ERPの導入を機に企業内のシステム配置の見直しを行うことで、システム配置をシンプルににすることができます。システム管理者は、管理・監視対象のシステムが少なくなり、運用コストの削減が実現できます。

データのトレーサビリティの向上と入力ミスの削減

SAPをビッグバン(複数モジュール)導入している場合、ロジスティクス(製造、購買、販売)のデータが会計処理までつながっているため、データのトレーサビリティがとても高くなります。そのため、何か問題が起きてしまい、調査する必要性が出てきた場合でも、スピーディーな確認が行えます。例えば、製造業で一部の材料に不具合が発覚した場合に、その材料がどの製品に使用されていて、どの業者に販売されたかまで瞬時に把握することができます。また、通常業務の中では、上流モジュールからデータがつながってくることにより、各業務担当者は必要最低限の項目だけ入力するだけでよくなります。そのため、入力時間が短縮され、入力誤りも少なくなるので、業務データの精度は高くなります。

標準機能を使用して、導入後の不具合リスクを減らす

SAPは、「ベストプラクティス」とよばれる、企業で一般的に行われている業務プロセスに対して、SAP標準機能でどのような設定を行い、どのような処理・入力を行うべきかを定義しています。この、予め準備されている標準機能をなるべく多く使うことで、余分な開発物を減らすことができます。この標準機能群は、これまで数多くの企業で使用され改善されてきており、不具合が発生する可能性は極めて低いです。標準機能は、SAPのパージョンアップにも対応しているし、運用時の追加課題等の対応時にも調査工数(コスト)を少なく解決することができます。

データの保護レベルが高い

SAPの標準で準備されているトランザクションのDBは、直接メンテナンス不可能(標準機能を介して更新する必要がある)なため、データの信頼度がとても高いです。特に、SAPの財務会計のモジュールでは、電子帳簿保存法にも対応しており、各会計年度、会計期間の断面で帳簿を確認することができます。さらに、表示されている集計金額から、実際のトランザクションデータまでドリルダウンすることが可能です。

リアルタイムの経営指標

ERPシステムでは、ロジスティックから会計、そして経営層用のレポートまで、ほぼリアルタイム(設計によります)でデータが連携されます。経営層の意思決定に必要な情報を、社員が手を動かすことなく常に表示させることができます。経営層がいち早く意思決定を行えるのはもちろんですが、経営企画室等の経営をサポートする部門にとっても大きな役割を担います。また、最新のSAP(S/4 HANA)では、DB構成がシンプルになっており、SAPの技術者に依頼しなくてもExcelのピボットテーブルのような感覚で簡易的なレポート作成が可能です。レポートの出力形式を保存しておくことで、他のメンバーにも情報共有が可能です。

まとめ

SAPを導入することから得られるメリットは様々であり、色んな角度から利益を得ることができます。一方で、システムに触れるユーザーの視点は様々であるため、各ユーザーによって重要なメリットは異なります。導入プロジェクトのリーダーERP(SAP)は、各視点でのメリットを整理し各ユーザーに伝えておくことで、それぞれのメリットを守り、バランスのよいシステム導入および運用につながるでしょう。