現代のビジネス環境はめまぐるしく変化しており、そのスピード感についていけない企業は成功することができません。しかし、部門間の情報伝達がスムーズに行えないことは多く、リアルタイムな情報に基づいたスピーディな経営判断が実現できていない企業も多いでしょう。

こういった課題を解決する方法の1つとして、企業活動を統合的に管理できるERPパッケージの導入が挙げられます。今回は、ERPパッケージが誕生した背景や導入のメリット・デメリット、最新動向について解説していきます。

ERPパッケージが誕生した背景

コンピューターがダウンサイジングされていった1980年代、PCは業務部門にも配置されるようになっていきます。しかし、ネットワーク化はまだ進んでおらず、各業務部門は別々にスタンドアローンのPCに業務管理のためのソフトを入れ、他部門とのやりとりは紙の伝票で行うのが基本でした。

例えば、営業部門では日々システムに売上の入力をし、月末に合計値を書いた伝票を経理部門に回します。これに基づいて経理部門では、経理システムにまた売上の入力をするというような業務フローです。

ただ、このやり方には多くの問題点があります。まず、現場での売上が、財務データとなって経営者の目に届くのは1ヶ月後です。加えて、その財務データには月1本の売上仕訳があるだけで、中身を細かく分析するには、営業部門のシステムから別途データを持ってくる必要があります。

このような課題を解決すべく、ERPパッケージが脚光を浴びるようになったのが1990年代です。この背景にはコンピューター技術のめざましい発達により、社内のコンピューターのネットワーク化が進んでいったこともありました。

PC同士の連携がしやすくなったことで、業務部門の垣根を越えて統合的な管理を行うERPパッケージが、より効果を出せる環境になったわけです。この頃から日本国内を含め世界中で、ERPパッケージが急速に普及していきました。

ERPパッケージ導入のメリット

ERPパッケージは企業の生産性向上を実現しますが、具体的には主に以下のようなメリットがあります。

・社内データの一元管理
・情報共有の加速
・全体最適化

それぞれについて、簡単に説明していきます。

社内情報の一元化

業務部門が別々に業務システムを運用している場合、各業務システムに社内データが分散してしまいます。必要に応じて手作業でデータを集めることになりますが、その際、ミスによる不整合が起こりやすくなります。

ERPパッケージでは業務部門が垣根を超えて同じシステムを使うことになるため、このような問題が基本的には起こりません。各業務部門のデータは、不整合を起こすことなくスムーズに連携させながら管理することができます。

情報共有の加速

各業務部門のデータがスムーズに連携される結果、必要なデータを必要なタイミングで関係部門がスムーズに確認できるようになります。情報共有のための無駄な手間や時間が減り、業務の効率化にもつながります。

また、経営者は現場のデータをより早いタイミングで確認できるようになります。企業活動全体をリアルタイム性の高い数字で把握できるようになり、適切な経営判断を行うことが可能になります。

全体最適化

業務部門間の連携がうまく取れていないと、特定の業務部門内だけの活動が部分最適化されてしまいます。各業務部門が別々に部分最適化を進めていくと、企業活動全体から見ると非効率になっていることがあります。

ERPパッケージを導入することで、業務部門ごとではなく全体として企業活動を把握できるようになります。これによって、部分最適化された業務プロセスを全体最適化していくことが可能になります。

ERPパッケージ導入のデメリット

ERPパッケージにはさまざまなメリットがある一方で、よくデメリットとして挙げられるのが導入コストです。ERPパッケージは企業全体を管理するシステムなので、導入には大規模なプロジェクトが必要となり、それ相応の時間と費用がかかってしまうわけです。

また、ERPパッケージは、標準的な業務プロセスを想定して設計されており、実際の業務にそのまま適用できないことがあります。その場合、業務プロセスを見直す、システムをカスタマイズするといった対応が必要になります。

そもそも業務プロセスを見直すためにERPパッケージを導入することも多いのですが、これには業務部門が抵抗を示すことも少なくありません。うまくERPパッケージを導入させるためには、プロジェクトに対する業務部門の理解が必要不可欠と言えます。

オンプレミス型からクラウド型へ

近年ではコンピューター技術はさらに進化を遂げ、さまざまなサービスがクラウド化されています。この流れのなかで、もともとオンプレミスで運用するのが当たり前だったERPパッケージも、クラウドで利用できるようになってきました。

オンプレミス型と比較すると、クラウド型は自社でサーバーを用意する必要もなく、低コストで手軽に導入することが可能です。また、システムのメンテナンスも自社で行う必要がないため、運用面での負担も抑えられています。

ERPパッケージはコストが高いところがあり、導入できるのは大規模な企業が中心でした。しかし、クラウド化が進んできた現在では、中堅・中小の企業でもERPパッケージを利用しやすい環境が整ってきています。

シェアランキング第1位のSAP社

ガートナー社が実施した「2018年のERPソフトウェア世界市場シェア分析」の調査によると、2年連続で売上第1位となったのがSAP社です。SAP製品は世界中で広く浸透しており、2020年1月の公表値によるとユーザー数は44万社以上、180ヶ国以上の国で使われています。

SAP社のERPパッケージには、オンプレミス向けSAP ERPのほか、SAP S/4HANA、SAP S/4HANA Cloud、SAP Business ByDesign、SAP Business Oneなどがあります。大企業向けのオンプレミス型から中堅・中小企業向けのクラウド型まで、幅広いラインナップが用意されています。

これらの製品は機能的に優れているのはもちろんのこと、多言語・多通貨対応、世界中の商慣習や法令への対応もできる世界標準のERPパッケージです。グローバルに事業を展開していくうえでのアドバンテージにもなるので、ERPパッケージ導入を検討する際は、候補の1つに入れておくことをおすすめします。

(画像は写真ACより)

▼外部リンク

SAPジャパン
https://www.sapjp.com/