ERPシステムにおける経理・財務業務

S/4 HANAなどのERPシステムを導入している企業の経理・財務の業務の多くは、標準化されてきています。それは、債権管理、債務管理、固定資産、決算等の業務プロセスに対して、SAP社がベストプラクティスを提供していることも1つの理由でしょう。それに加えて、経理・財務の業務は、生産業務などと違い、社会的に守らなければいけないルールが定められているため、どの企業においても実施すべき基本的な業務は、そこまで違いはありません。

基本的な経理・財務の業務に違いは少ないものの、これらの業務で確定された実績データを「いかに分析し、次の意思決定につなげることができているか?」という観点においては、ERPを導入している企業の中でも差があるように感じます。今回は、S/4 HANAにおいて提供されている経理・財務業務とそのデータの保持のされ方、およびそのデータを使用した分析ツール「SAP Analytics Cloud」について触れていきます。

S/4 HANAにおける経理・財務業務

S/4 HANAは、財務計画、債務/債権管理、決算処理、資金管理、リスク管理、その他多くの機能に対応しています。任意のセグメント別の計画と実績の比較はもちろん、顧客・サプライヤ別の債権債務管理、シンプルな決算処理が提供されています。各経理業務の実績データが、資金管理へとつながり、いつ・どの程度の資金移動が発生するのかをリアルタイムで把握することができます。また、すべてのデータは保護されており、不正データ等を一元的に把握することができ、企業リスクを抑え、コンプライアンスが遵守されることになります。

S/4 HANAにおける経理・財務データ

S/4 HANAにおける経理・財務データは、R/3時代と違い統一された単一のデータモデルで管理されています。ほとんどのデータが単一のテーブルに格納されているため、任意の分析項目で即座に財務分析を実施することができます。Excelの「ピボットテーブル」のようなイメージで、縦と横の項目を直感的に指定すれば簡単にレポート作成することが可能になっています。

もちろん、各種レポートのサマリー値から、明細レベルのデータまでドリルダウンすることもできます。S/4 HANAの標準レポートより、さらに一歩踏み込んだ分析をするために、単一のデータモデルという思想をより有効的に活用できるサービスとして、SAP Analytics Cloudが提供されています。

SAP Analytics Cloudとは

SAP Analytics Cloudは、SAP社が提供しているSaaS型インテリジェントクラウドBIサービスです。SAP Analytics Cloud はSAP社が運用するPaaS、SAP Cloud Platform上で構築されており、アクセス用のIDとパスワードさえあれば、自身のPCにインストールする手間なく、すぐにサービスを使用することができます。SAP社は、SAP Analytics Cloudの機能として、「データの分析・可視化(BI機能)」「予算・計画管理(Planning機能)」「予測・相関分析(Predictive機能)」の3つを挙げています。

上記3つの機能を使用して、SAP Analytics Cloud上でダッシュボードを作成することができます。チャート、テーブル、テキストボックスなどの任意のオブジェクトを配置することができ、直感的にレポート画面を作成することができます。これは、単一のデータモデルでデータが管理されていることで、こまかな処理ロジックが不要となるからです。また、既存の情報資産をSAP Analytics Cloud上で統合することも可能で、まさに一歩先の情報分析を行うことができます。

まとめ

企業内に存在する経理・財務データは、どこまで活用されているでしょうか?外部への情報開示用のデータになってしまっていないでしょうか?データが表す本質的な情報を、人間が素早く理解するには、可視化・グラフ化される必要があります。SAP Analytics Cloudのような、一歩先の情報分析を行うことで、これまで気付くことができなかった視点・ベクトルを見つけられる可能性が高くなるのではないでしょうか。