資金管理(Cash Management)

各企業のスタンスによって、資金管理の考え方は大きく変わってきます。特に日本企業は、健全性を求める経営者が多く、自己資本比率が70%から80%以上ある企業が多く存在しています。それとは逆に、自己資本比率を下げてキャッシュという資産の回転率を高く維持している企業も存在しています。両社とも資金の重要性を理解し、資金を確保するためのリスクに対するそれぞれの考え方があります。

大企業にとって、すべての資金の移動を管理していくには、かなりのパワー(人件費)が掛かります。今回は、そんな企業の課題を解決するためのソリューションとして提供されている、S/4 HANAの資金管理(Cash Management)の機能で、どのように資金を管理することができるかについて触れていきます。

S/4 HANAの資金管理とは?

S/4 HANAは、ERPシステムであるため、資金の移動の実績は、リアルタイムの洞察を管理することができます。現預金の移動が発生した際には、企業の銀行口座単位にその実績を把握することが可能です。また、日常業務で発生する、債権債務に対する資金の流動性管理・資金予測も行うことができます。債権債務の伝票情報に、いつ・いくら・どの口座から出金する(どの口座に入金される)かの情報を保持することができ、キャッシュにどれだけの余裕があるのか、いつどの口座からどの口座へ資金移動をしなければいけないのかをリアルタイムで把握していくことが可能です。

また、債権債務の分析レポートも充実しています。入金が滞留している債権がある場合でも、どれくらいの期間・どのくらいの金額滞留しているのかを視覚的(グラフィカル)にとらえることができます。常に可視化されていることが、運用リスクを大きく低減することにつながります。

さらに、S/4 HANAには、さらに一歩進んだテクノロジーが搭載されています。資金管理で、一番手間と時間がかかる債権の照合業務を自動化できるソリューションが存在します。SAP Leonardo(AI)を使用し、経理・財務担当者の過去のマニュアル作業を学習することで、請求書照合の業務を自動的に行うことができ、このAIを使用する際の、詳細なルールやマニュアルを定義する際のコストは不要と説明されています。

AIの場合、実際に導入した際の精度が気になりますが、ERPシステムの世界的リーダー企業であるSAPが搭載しているAIであり、期待値は大きいです。完全一致の消込ができなかった場合でも、レビューが推奨されるため、皆さんが求めていた消込業務がすぐそこまで来ているのかもしれません。

S/4 HANAの銀行口座管理

R/3からS/4になったタイミングで、銀行口座の管理も大幅に充実度がアップしています。これまで(R/3)は、導入企業の銀行口座が増えるとカスタマイズが発生し、SAPコンサルタントへの作業依頼が必須でしたが、S/4からはユーザーに開放されています。それにより、より柔軟な口座管理を行うことができるようになっています。もちろん、コンプライアンスは遵守されています。進化した資金管理に、この柔軟な銀行口座管理が合わさることで、より正確に、よりスピーディな資金管理が可能となっています。

まとめ

ERPシステムを導入している大きな企業にとって、資金管理はとても重要な業務です。大企業であればあるほど、資金移動のボリュームも大きく、それを一元的に管理しようとすると、S/4 HANAのようなシステムが不可欠になってきます。経営資源(人・モノ・金・情報)の1つである「お金」を、より効率的に回転させていくことが、企業をさらに大きく成長させるカギになるのではないでしょうか。