現在はグローバル化やデジタル化が進み、ビジネス環境の複雑度が増しています。そのため、ビジネスに伴う不確実性は増してきており、仮に経営計画が思惑通り進んだとしても、思わぬリスクによって足下をすくわれてしまうこともあります。

ビジネスを成功に導くためには、こういった不確実性を適切にコントロールするGRC(ガバナンス・リスク・コンプライアンス)が欠かせません。「守り」のGRCがしっかりしているからこそ、チャレンジングな「攻め」の経営が可能となるわけです。

今回は、経営の「守り」の強化をサポートするSAP社のGRCソリューションについて、ビジネスの保護・国際取引の管理・サイバーセキュリティとデータ保護・アクセスのガバナンスの分野に分けて、製品を紹介していきます。

ビジネスの保護

ビジネスの保護とは、企業が行うビジネス活動に伴うリスクを適切に管理し、コンプライアンス遵守を担保することを指します。これは、業務管理・リスク管理・コンプライアンス・内部監査等によって実現されます。

SAP社は、ビジネスの保護を確保するための活動をサポートする、さまざまなソフトウェアを提供しています。ここでは、これらのソフトウェアの概要について、簡単に紹介していきます。

SAP Risk Management

SAP Risk Managementは、全社的な視点からリスクマネジメントを行うことをサポートするERMソフトウェアです。ビジネス目標を達成するうえでのリスクを特定したうえで、それを適切にコントロールする方法についての洞察を得ることができます。

リスクとその責任に所在が明確化され、リスクに対するモニタリングが継続的に実施される環境が整います。不確実性によってビジネス価値が毀損される可能性が低減し、経営の「守り」の土台を作ることができます。

SAP Process Control

SAP Process Controlは、業務プロセスにおける内部統制モデルの評価や内部統制の運用状況のモニタリングをサポートするソフトウェアです。時間のかかるこれらの作業を、自動化によって効率的に行えるようになります。

内部統制のモニタリングはリアルタイムで行われ、ルールからの逸脱が発生すればすぐに検知することができます。また、幅広い業務を一元的に管理することになるため、全社横断的に内部統制の状況が可視化されるようになります。

SAP Audit Management

SAP Audit Managementは、内部監査を効率的・効果的に行うためのソフトウェアです。内部監査人はモバイルデバイスやドラッグアンドドロップツールを使って、チームで適切に連携しながら迅速にエビデンスをまとめ、監査レポートを作成することができます。

監査プロセスにおいては、モニタリングの自動化やテンプレートの使用によって、監査のスピードアップが図られています。より価値のある問題を深く調査することが可能となり、監査品質の向上が期待できます。

SAP Business Integrity Screening

SAP Business Integrity Screeningは、ビッグデータをスクリーニングするソフトウェアです。大量のトランザクションデータをリアルタイムでチェックして、異常データや不正データを検出します。

予測分析や行動分析の機能、柔軟なルール設定により、問題のあるデータのパターンを特定・検知することができます。すべてのデータを効果的にスキャンすることによって、コンプライアンス違反の発見・防止が可能となります。

国際取引の管理

現在のビジネスにおいてはグローバル化が進んでおり、リスクはますます複雑化して大きくなっています。これを適切に管理していくことは、グローバルに事業展開をしていくうえで欠かすことができません。

この国際貿易業務の分野において、SAP社はビジネスパートナーのスクリーニング・国際取引の集中管理に関するソフトウェアを提供しています。それぞれについて、ソフトウェアの概要について見ていきましょう。

SAP Watch List Screening

SAP Watch List Screeningは、国際取引におけるビジネスパートナーを選定する際のプロセスをサポートするソフトウェアです。政府や国連等の機関が定めている拒否リストに基づくスクリーニングの機能により、コンプライアンスに関するリスクが抑えられます。

また、このソフトウェアを使用するとスクリーニングが簡素化されるため、プロセスのスピードアップも期待できます。リスクの低減とプロセスの迅速化により、スムーズな国際取引が可能となります。

SAP Global Trade Services

SAP Global Trade Servicesは、グローバルな事業展開に欠かせない貿易取引をサポートするソフトウェアです。国境をまたぐ取引にはさまざまな規制が伴いますが、このソフトウェアを使うことで、リスクを低減させながら貿易プロセスを改善することができます。

輸出管理・輸入管理・通関手続き等の機能を有しており、貿易取引に関する情報を一元管理することが可能です。また、さまざまな手動タスクが自動化されており、作業の効率化・生産性の向上を実現できます。

サイバーセキュリティとデータ保護

IT技術の進歩に伴い利便性が向上した現代社会ですが、それと同時にサイバー攻撃や情報漏洩等のリスクも大きくなっています。今やサイバーセキュリティとデータ保護は、ビジネスを安全に進めていくうえで欠かせない要素と言えるでしょう。

この分野において、SAP社は企業を脅威から守る強力で柔軟な機能を有するソフトウェアを提供しています。それでは、サイバーセキュリティとデータ保護に関する製品について、その概要を簡単に説明していきます。

SAP Enterprise Threat Detection

SAP Enterprise Threat Detectionは、リアルタイムにネットワークのイベントログ等を解析するSIEM(Security Information and Event Management)ツールです。自動でサイバー攻撃の兆候をいち早く検知し、被害が拡大する前に脅威を排除することができます。

膨大な量のログデータをリアルタイムで解析することで、効果的かつ効率的なセキュリティ強化が可能となります。これによって、例えば財務情報、顧客データ、設備コスト等、企業における重要情報を脅威から確実に保護することができます。

アクセスのガバナンス

企業内にはさまざまな情報が存在しますが、情報にアクセスできる者を職務分掌に照らして適切な権限者のみに絞る必要があります。アクセスのガバナンスを適切に行うことで、企業の情報が不正に使用されるのを防止することができます。

SAP社では、このアクセスのガバナンスをきめ細かく、かつ、少ない労力で実践できるソフトウェアを提供しています。それでは、これらのソフトウェアについて、製品ごとに簡単な特徴を見ていきます。

SAP Access Control

SAP Access Controlは、ユーザーのアクセス権限を適切に設定したうえで、その管理プロセスをセルフサービス化することができます。これにより、IT部門に過度な負担がかかることなく、アクセスのガバナンスが適切な状態を保つことができます。

また、リスク分析の機能が埋め込まれており、職務分掌に照らして重要なアクセス違反が発生している場合、自動で検知して修正することができます。アクセス管理のプロセスが合理化されることで、効率的にコンプライアンス違反を事前防止できるようになります。

SAP Cloud Identity Access Governance

SAP Cloud Identity Access Governanceは、クラウドベースで包括的にID管理とアクセス管理を可能にするソフトウェアです。直感的なインターフェースと簡素化されたプロセスにより、効果的にアクセス違反のリスクを低減します。

統一されたビューでアクセス権限を設定できるため、複雑な環境でもユーザーはシンプルに管理を行うことができます。ダッシュボードには分析機能も組み込まれており、アクセスに関する問題が発生していないかを視覚的に確認することもできます。

経営の「守り」を固めよう

今回は、経営の「守り」をサポートするSAP社のGRCソリューションを紹介してきました。ビジネスの保護やサイバーセキュリティ、国際取引等、幅広いリスクに対して統合的に対応できるのが、SAP社のGRCソリューションの特徴です。

複雑化する現代のビジネス環境において、企業が向き合うリスクはさまざまあります。まずは自社におけるリスクが何かを認識したうえで、経営の「守り」を固めるために必要な方策を検討してみることをおすすめします。

(画像は写真ACより)

▼外部リンク

SAP社 サイバーセキュリティ&GRC
https://www.sap.com/