SAPのERP以外のクラウド製品

SAPは、これまでERPシステムのワールドスタンダートとして多くの企業に導入されてきました。それは、販売管理(SD)、購買管理(MM)、生産管理(PP)、財務会計(FI)、管理会計(CO)と呼ばれる主要モジュールを導入する、「ビッグバン導入」が主流でした。しかし、R/3からS/4 HANA Cloud へとバージョンアップしたことで、SAPのその他のクラウド製品の導入も多くなってきています。今回は、SAP Ariba、SAP Fieldglass、SAP SuccessFactors、SAP Concur、SAP Hybris といったERP以外のクラウド製品についてまとめていきます。

SAP Ariba

SAP Ariba は、調達・購買業務で必要とされる業務機能を保持しているクラウドシステムです。調達部門の調達プロセスと購買プロセスのソリューション を有しています。標準化された業務プロセスに加えて、もう一つの最大の特徴であるのが「Ariba Network」です。「Ariba Network」はグローバルで300万社以上の企業が登録しており、その中から最適なサプライヤーを探すことができる世界最大級のネットワークです。

この世界最大級のネットワークを利用することで、戦略的調達を行うことができます。取引量の多いサプライヤーについては、Ariba Network上での取引を促していくことで、Ariba Network上での見積・発注・請求などの商取引データのやり取りを行うことができ、更なる業務効率化を生むことができます。このNetworkに加入する企業が増え、その輪が大きくなれば大きくなるほど、このシステムの価値・可能性は大きくなっていきます。このNetworkという思想が、SAP社にも認められた部分であり、多くの企業にとって有意義なシステムとなるポイントになっています。

SAP Fieldglass

「SAP Fieldglass」は、ポータルサイトを通じて派遣・準委任・請負業務委託管理におけるサービス役務調達のプロセスを管理できるクラウドソリューションです。納品、検収、支払、請求処理といった事務作業の効率化だけでなく、蓄積された情報を活用してさまざまな分析が可能で、採用管理の最適化を図ることができます。

協業・協働する発注元/サプライヤーの双方がクラウドを通じて情報のやり取りをすることができるため、契約書、タイムシート、作業報告書、成果物、請求書といったすべての情報は電子化され、システム上で一元的に管理されます。請求金額のチェック、請求漏れの確認など請求書の照合に必要な時間を大幅に削減することができます。

SAP Concur

SAP Concurは、クラウド型の出張・経費管理システムで、デジタルトランスフォーメーション(ITの浸透が、人々の生活をあらゆる面でより良い方向に変化させる)の考え方を保持しています。経費精算のサービス(Concur Expense)は、電子帳簿保存法に対応しており、スマホから領収書の写真等を保存することで経費精算を行うことができます。他にも、交通系ICカードと連携することで、交通費の煩わしい入力も省力化することができます。出張管理のサービス(Concur Travel)は、モバイルアプリ上で飛行機・ホテル・レンタカーなどの手配状況を管理できる機能や、出張申請から承認までのプロセスの状況を把握することができる機能があります。こうした機能を有することで、実業務担当者は本業に集中(雑務に費やす時間を削減)できます。

また、経費や旅費を管理するバックオフィス業務者にもメリットがあります。経費使用ルールの違反を自動チェックしてくれる機能や、明細が一元的に管理されていることで、経費の使用状況をリアルタイムで把握できる支出管理機能などがあります。出張についても、適切な価格での予約管理や不正利用を検知できる機能、集中購買でより良い交渉条件を引き出す機能などがあります。さらに、出張者のリスク管理を行う機能もあり、災害やテロが発生した際の安否確認・対応指示もコンカー上で行うことができます。

SAP Hybris ⇒ C/4 HANA

SAP Hybrisは、顧客とのつながり先を選ばないオムニチャネルシステムです。現在は、2018年6月に「SAP Hybris」と「SAP CRM」を含める形で「SAP C/4HANA」にブランド変更されました。C/4 HANAは、主力の「S/4HANA」と対になるネーミングで、「SAP HANA」を土台にバックエンドとフロントオフィスが結びつく点を、この製品の最大の差別化とポイントとしています。

C/4では、収集した顧客の行動データを分析し、その意図を読み取ったり、隠れた傾向を導き出す手助けをしてくれます。リアルタイムで、BI(ビジネスインテリジェンス)を活用し、収益性に関わるデータの視覚化を行い、適切な意思決定へと導いてくれます。ECフロント画面の顧客活動を自動監視し、顧客の購入プロセスをシンプルにすることができます。さらに、フロントで認識した問題や課題を、バックオフィスメンバーへとシームレスに連携できます。できる限り質の良いサービスを顧客に提供するためには、フロントとバックオフィスがONEチームになり、各自の職務を適切に作業できる仕組みを提供してくれます。

まとめ

多くの大企業は、SAPを導入してきました。これからは、ERPシステムだけではなく、自社のビジネスに最適なSaaSシステムをいかに有効活用していくかがポイントになっています。S/4 HANA Cloud と組み合わせて、クラウドシステム間でシンプルにデータ連携し、必要な情報を必要なタイミングで把握できるようにすることで、それぞれのシステムの付加価値が倍増していくのではないでしょうか。