最近のSAP(S/4 HANA)導入方式

SAPがR/3の時代には、オンプレミス(ハードを自社で保有する)での導入が主流でした。しかし、世間一般にクラウドシステムが普及し始めた頃から、SAPもR/3からS/4へと大きな変革を遂げて、導入方式もオンプレミスからクラウドでの導入へとシフトしてきています。今回は、現在SAPを導入する上で、提供されているサービスについてまとめました。

SAP S/4 HANA 導入の最初の選択

SAPのS/4(HANA)の導入を検討する際に、まずオンプレミスで導入するかクラウドで導入するかを選択する必要があります。さらに、クラウドでの導入を検討する場合、STE(シングルテナントエディション)またはMTE(マルチテナントエディション)を選択する必要があります。簡単に3つの選択肢の説明をします。

[オンプレミス]
自社サーバー内にS/4 HANAをインストールする方式です。導入後のインフラ保守を自社で行う必要があります。パッチの適用やバージョンアップを実施する際も、各社で実施することになります。S/4のサーバーを、完全に独立して保持することができるため、セキュリティポリシーの意識が高い業種の企業で、よく採用されるイメージです。

[STE(シングルテナントエディション)]
PaaS型で、サブスクリプション料金体系の方式になります。年に一度、SAP社がバージョンアップを実施してくれ、その料金も含まれた契約体系となっています。1社で完全に独立したクラウド環境(プライベートクラウド)のため、バージョンアップのタイミングを指定することができ、常に最新のバージョンを使用することができます。また、独自のカスタマイズやアドオンの追加も可能です。

[MTE(マルチテナントエディション)]
SaaS型で、サブスクリプション料金体系の方式になります。年に四回、SAP社がバージョンアップを実施してくれ、料金はSTEよりも安価に設定されています。1テナントの中に、2、3社が共存しているクラウド環境(パブリッククラウド)が提供されます。すべてのサービスがSAPから提供されるため、カスタマイズできる部分は限定的です。

選択基準となる指標は?

オンプレミスとSTE,MTEを選択するための指標は、大きく3つあると考えられます。それは、「セキュリティポリシー」の「標準化(カスタマイズ要件)」「マンパワー(運用保守する人手)」です。

「セキュリティポリシー」の観点では、システムを使用する上で各社がそもそも定義しているセキュリティポリシーと、S/4内で扱うデータの種類に関連したセキュリティが考えられます。データの独立性・安全性を高めようとすると、オンプレミスまたはSTEを選択することになるでしょう。

「標準化(カスタマイズ要件)」の観点は、S/4の標準機能で、どこまで業務を実施することができるか(現実的であるか)です。独自の要件が多い企業の場合は、S/4にカスタマイズをする必要性が高いため、オンプレミスまたはSTEを選択することになるでしょう。要件定義を行った結果としてカスタマイズ要件が確定する(プロジェクトの開始時には不明確な部分が大きい)ので、より慎重に捉えておくべき観点と言えます。

「マンパワー(運用保守する人手)」の観点は、S/4を導入した後に、サーバーを運用保守する人材が十分であるかです。規模の大きい企業の場合は、マンパワーがあり導入後のサーバー管理やバージョンアップも実施することができるでしょう。しかし、そこまで規模が大きくない企業の場合は、その逆でSTEまたはMTEを選択することで、大きなメリットを受けることができるでしょう。

まとめ

S/4 HANAは、標準機が最適化・合理化されおり、様々な予測・分析機能も兼ね備えたハイスペックなERPシステムと言えます。そのハイスペックで高額なシステムを、より自社に適した形で導入するにはどの形式にすべきなのか?SAPの営業担当者としっかり会話し、各サービスの内容をしっかりと理解することが大切です。そして、慎重に評価して検討していきましょう。