企業内の業務システムを統合・管理する「ERP」

企業の業務効率化を図るためのシステムとして「ERP」があります。ERPは、企業内で利用されている業務システムを統合・管理するシステムで、管理の一元化により業務の効率化が実現します。

ERPは、自社で情報システムを構築する「オンプレミス」と、クラウド上のシステムを活用するタイプがあります。

クラウド型は自社で情報システムを構築する必要がなく、導入が容易であることから、今後はERPをクラウドで利用する企業が増えると見込まれています。

ERPとは?

ERPの市場規模についてみていく前に、ERPについて説明します。

ERPとは「統合基幹業務システム」のことです。ERPは「Enterprise Resource Planning」の頭文字をとったもので、意訳すると「企業の経営資源を計画的に管理する」という意味合いとなります。

企業の経営資源としては、人、物、金、情報などがあり、それらの経営資源を活用しながら業務管理が行われます。業務管理の種類として主なものをあげると、生産管理、在庫管理、売上管理、人事・労務管理などがあります。

もともと、これらの業務管理は企業内の各部署にて行われてきました。しかしながら、そのような状態では業務管理に関する情報が各部署内にとどまることになり、業務の効率性が高まらない点が問題でした。

ERPの導入によって、業務管理についての情報を一括で管理できるようになり、社内全体で情報を参照できるようになりました。それにより、部署間をまたいで情報を共有できることから、意志決定の迅速化、業務の効率化が見込めます。

ERP市場規模 全体的には拡大傾向

次に、国内のERP市場の実態についてみていきます。

IT関連の市場調査とコンサルティング事業を展開する株式会社アイ・ティー・アールは、国内ERP市場に関する調査データ「ITR Market View:ERP市場2020」の調査ハイライトを同社のWebサイトに掲載しています。

それによると、2018年度の国内ERP市場は売上高が1004億円で、前年度比で9.1%の増加となりました。

また、同社は、同市場における2018年度から2023年度までの年平均成長率を9.5%と予測しており、2023年度における同市場の規模は1580億円に拡大すると見込んでいます。

ERPの提供形態 「SaaS」「Iaas」「オンプレミス」

ERP市場の提供形態別規模についてみていく前に、それぞれの提供形態の内容について説明します。

ERP市場の提供形態は、大きく分けるとSaaS市場とパッケージ市場となります。また、パッケージ市場はIaaSとオンプレミスに分けられます。

SaaSとは?

SaaSとは「Software as a Service」の略語で、意味は「ソフトウェアで利用できる機能のうち、必要な分だけ利用できる仕組み」です。

従来は、ソフトウェアを利用する場合、ソフトウェアそのものを購入する必要がありましたが、現在ではインターネットを利用することにより、ソフトウェアの機能の一部だけを利用できるようになりました。

また、SaaSとはクラウドサービスでソフトウェアを利用する仕組みです。SaaSを利用することによって、低コストで手軽にソフトウェアを利用できるようになります。

IaaSとは?

IaaSとは「Infrastructure as a Service」の略語です。

「Infrastructure(インフラストラクチャー)」とは、日常的に使用される単語である「インフラ」の正式名称で、この場合においては「コンピュータシステムを稼働させるためのネットワークインフラ」を意味します。

つまり、IaaSとは、コンピュータを利用するためのネットワークインフラをクラウドで利用できるサービスのことを指します。IaaSで利用できるのはサーバー、ストレージなどのハードウェアです。

オンプレミスとは?

オンプレミスとは、情報システムを構築するためのサーバーやソフトウェアを自社で保有し、運用することを指します。

オンプレミスのメリットは、情報システムを自社で構築するため、システムのカスタマイズが容易に行えること、既存の自社システムと連携しやすい点です。

しかしながら、オンプレミス環境を自社で構築するためには、時間がかかるうえにコストが高く付きます。そのため、最近ではERPを導入する場合はオンプレミス環境を構築せず、投資額を抑えられるクラウド型の利用が増えています。

ERPの市場拡大は、SaaS市場の拡大がけん引

次に、ERP市場の提供形態別規模についてみていきます。

2018年度の時点においては、オンプレミスの売上高が506億円で国内ERP市場の約半分を占めました。一方、同年度のSaaSの売上高は264億円で、シェアは国内ERP市場の26%にとどまりました。

国内のERP市場は今後拡大を続ける見通しですが、オンプレミスのシェアは年々低下すると見込まれています。

その一方で、クラウド型のERPのシェアは今後拡大が見込まれており、特にSaaS市場はERP市場におけるシェアを大きく上げる見通しです。

株式会社アイ・ティー・アールの予測によると、国内ERP市場に占めるSaaS市場の割合は2022年度の時点で50%を超え、2023年度の時点では、SaaS市場の規模は990億円、国内ERP市場の約6割を占めるとみられています。

クラウド型のERPを利用すると、自社内で情報システムを管理・運営する必要がないこと、スピーディーに導入できるうえに導入コストを抑えられるため、今後はクラウド型のERPのシェア拡大が予想されています。

参考:ITR Market View:ERP市場2020 調査ハイライト
https://www.itr.co.jp/report/marketview/M20000900.html

まとめ

国内のERP市場は、かつてはオンプレミスのシェアが高かったものの、SaaSは導入が容易であるうえに場所を問わずに利用できることから、今後の展望としては、SaaSのシェア拡大が見込まれます。

現在ではあらゆるサービスでクラウドが活用されています。その流れはERP市場においても同様で、今後はSaaSの導入が加速していきそうです。

(画像は写真ACより)