ERPシステムのグローバルリーダーであるSAP社のS/4 をグローバルで利用することで得られるメリットはとても沢山あります。
今回は、S/4を導入する際のインフラ(クラウドサービス)と、全モジュールに共通している、言語・通貨について、メリットを整理します。

インフラ(クラウドサービス)について

最近は、ERPでもクラウドでのインフラ調達が主流になっています。導入する際のコストを抑えられることはもちろん、インフラを保持する地域(リージョン)を容易に決められることが、システム障害や自然災害時の大きなリスクヘッジとなります。特にグローバル企業の場合は、インフラのリージョンを分散させ、一部のサーバーが万が一使えなくても業務に影響が出ないように設計しておくことが必要です。

また、SAPではクラウドのサービスもSaaS,PaaS,IaaS型と様々です。グループ会社の場合、親会社と子会社でサービスを変えているケースなどもあります。子会社はカスタマイズ性は低いですがバージョンアップ等のコストも抑えられるSaaS型を、親会社は要件が多いので複雑なカスタマイズが可能なIaaS型を選ぶようなケースです。企業毎に、SAP導入時に注力するポイントは様々なので、それぞれのサービスで出来る事と出来ない事をしっかり理解した上で、選択する必要があります。

言語について

グローバル企業にシステムを導入する際、表示言語は大きな課題になります。SAPでは、ユーザーがログインする際に、ログイン言語を選択することができます。SAPをインストールする際に、40数種類の言語の中から必要な分の言語パッケージを選択します。標準機能に関しては、各ユーザーのログイン言語で使用することができます。この仕組みによって、導入を検討する際に、使用ユーザーの言語スキルを意識する必要はなくなります。一方で、使用想定の言語が増えると、カスタマイズ(パラメータ設定)やアドオン開発した際に、使用している各言語の表示設定を行う必要が出てくるので、注意が必要です。

通貨について

グローバル企業は、各拠点で使用される主たる通貨が異なります。SAPでは、あらかじめISO(国際標準化機構)に準拠した通貨コードが準備されています。SAPでは各会社コード(法人)単位に、主たる使用通貨を決めておきます。主たる通貨意外の外貨に、換算レートを登録しておくことで、外貨取引の価格を主たる通貨の価格に換算して保持することができます。例えば、日本円(JPY)が主たる通貨で、$→¥のレートを120で登録しているとします。ドル建ての売上$100を計上した場合、伝票金額$100国内金額¥12,000といった形で、両方の金額が保持されます。

また、SAP(S/4)では、財務会計(FI)のモジュールで、主たる通貨以外に8つまで別の通貨額情報を保持できるようになっています。この機能を利用すれば、グローバルのグループ会社毎に主たる通貨が異なる場合でも、省力で共通の通貨に換算された金額を把握することができます。

まとめ

SAPが他の製品に比べて素晴らしいところは、選択肢の幅がとても広いところです。上記の3点だけでも、グローバルに事業を展開している企業にとっては、「選択できる」という大きなメリットがあります。各モジュール(アプリケーション)の検討を行っていく中でも、1つ1つの要件を選択していくことになります。SAPの価値をしっかり利用するために、インフラ等の大きな方針の選択から、各モジュールの細かいカスタマイズレベルの選択までしっかり検討していきましょう。