IT時代に心得たい、ERPという概念と投資

デジタルマーケティングや情報システムなどによって、ERPが急速に成長し、かつ重要視されています。

企業内の「統合基幹業務システム」を整備するため大企業を中心にIT投資が行われ、ERP市場は活性化しています。

ではそもそも、ERPの概念と本来の目的はどのようなものでしょうか。

ERPとは、「企業資源計画(Enterprise Resources Planning)」のことで、ヒト・カネ・モノを企業の資源と考え、それをデータとして効率的・生産的に活用するために社内の基幹システムを統合し、最適化することです。

ここでは、ERPのトレンドや傾向、投資回収にかかる期間などについて紹介していきます。

ERPパッケージ、問題や目的に合わせて選ぶ

ERPは主に、総務、会計、人事、生産、在庫、購買、物流、販売などの基幹情報や、経営に関する業務などの機能を想定して標準化し、パッケージ化してソフトウェアとして提供されています。システムを自動化して業務を効率化し、データを活用します。

メーカーや小売だけでなく、金融や不動産関連など、幅広い業界に導入されています。

パッケージは「統合型ERP」、「コンポーネント型ERP」、「業務ソフト型ERP」などの種類があり、導入を検討している企業の業務内容、目的、問題、効果などを検証して選びます。

低コストで導入しやすい「クラウド型ERP」

ERPが急速に活性化した理由の1つには、「クラウド化」があげられます。

外部サーバーを利用した「クラウド型ERP」は、ITリソースを自社で運営するオンプレミス方式とは異なり、クラウド上でシステムを構築・管理できるため、無駄なコストや運用の手間を軽減します。中小企業でも、比較的安価で導入しやすいのが特徴です。

世界中のどこからでも手軽にアクセスできるため、外出や出張の多い従業員が出先で業務を遂行することができます。

ERPのトレンドと投資動向、傾向とは

代表的なERPベンダーは、マイクロソフト、オラクル、SAPの3社です。これらは1990年代後半から活用されており、業界を問わずシェアされています。

製造業だけを見ると、マイクロソフト社を導入している企業が多くなっていますが、企業によって業務ややり方が異なるため、「シェアされているからよい」とは一概に言えません。

マイクロソフトは2016年から、既存のERPに顧客管理システムであるCRMを組み合わせた「Dynamics 365」を提供しています。

ERPの内部データに「顧客情報」というマーケティングや売上に直結する外部情報を組み込むこんだ初めての試みとして話題になりました。

投資回収の期間はどのくらい?

企業にとって重要なのは、コストと投資回収の期間、実際の効果です。

投資回収とは、利益が投資した金額を超えることで、どのくらいで利益の効果をもたらすか検証することが大切です。見積もり、つまりプラニングコストに対し、投資回収の期間が短いほど効果が高くなります。

オンプレミス型であれば、導入だけで数千万円ですが、クラウド型サービスであれば、初期導入は低コストであることが多く、運営費用はMFクラウド会計ソフトのパッケージなどが月額数千円から提供しています。

投資回収の期間はおよそ1~3年。PANORAMA CONSUL2013 ERP REPORTによると、ERPの投資回収期間について、「2年以内に回収できた」とする回答が最も多く全体の23%。平均の投資回収期間は25か月です。

ただし、「回収できなかった」27%、「回収できたかどうか分からない」25%との回答もあります。

経済産業省の調査では、IT投資の回収年数は2~10年程度になると報告しています。改修・開発では5年程度で行われており、10~20年の長期的な見方をしています。

別の調査では、1年以内で回収できたとする報告もあります。またベンダー別では、SAPやオラクルでは半数以上が投資回収期間に3年以上、一方でマイクロソフト社は2年以内が3割を超えているという調査も報告されています。

最適なERPベンダーを選ぶために心がけたいこと

企業はどのようにERPを選ぶべきでしょうか。実際には、主要3社のほかにもベンダーは様々あり、それぞれに独自の特徴やサービスがあります。

どんなことができるかということは大切なのですが、基本的には自動的にデータを打ち出すものなので、従業員にとって使いやすく効率的なものかどうかが最も重要なポイントになってきます。

ITツールは企業にとっても大きな投資となりますが、システムは、実際に使ってみないと分かりません。

トライアルやデモなどのサービスがあるため、まずは使用感を確かめてみるために利用しましょう。導入後に一定の期間使用し、使い勝手がよくなかったり、効果が出なかったり、投資と見合わないと判断すれば解約できるものもあります。

必要なのは、操作性、追加や改修などの柔軟性、見やすさなどがあげられます。導入前によく検討し、導入後も使い勝手や効果を見直していく必要があります。

増加する中小企業の導入の背景とは

近年は、中小企業が導入するケースが増加しています。その背景には、後継者不足や人手不足の課題解決、クラウド型のERP登場により低コストになっているため、中小企業が比較的導入しやすいなどの理由があげられます。

また、大企業がIT化の推進や見直しを行ったことから、取引している中小企業でもデジタル化や効率化を行う管理システムの導入を迫られたことも考えられます。

このような動きから経済産業省では、今後も中小企業のERP導入は増加すると予測しています。

課題・中小企業の3割が導入していない

経済産業省の「中小企業・小規模事業者のIT利用の状況及び課題について」のレポートによると、経理・財務などの内部管理業務ソフトやシステムを採用している企業は6割に上ります。

一方で、収益につながる調達や販売、受発注管理などではIT投資をしている中小企業は約3割と報告しています。

その理由には、「IT人材がいない、確保が難しい」、「導入効果が分からない」、「コスト負担ができない」などの回答が得られています。

少子高齢化によって労働人口が減少しており、日本企業の大半を占める中小企業では人材確保が難しくなっているのも現状です。

IT投資への抑制やIT化への遅れは、今後の経済成長に大きな影響を及ぼすため、政府でも課題として支援する取り組みを検討しています。

規模の大小に関わらず、ERPは従業員の働きやすさ、デジタルマーケティングへの活用、経営陣の意思決定の速さなどに大きく関わります。また長期的な視点では、企業資源の最適な活用やコスト削減につながり、企業の成長をサポートしてくれます。

(画像は写真ACより)