近年のIT技術の変化・進化は激しく、とくに最先端技術を中心にIT人材の不足が叫ばれています。なかでもSAPコンサルタントは2027年にかけてニーズの高まりが予想されるため、今後の人材不足はより深刻なものになると考えられます。

現在、SAPコンサルタントは売り手市場にあるということで、求人や仕事探しという面ではプラスに働きそうですが、長期的に見てSAPコンサルタントは魅力的と言えるのでしょうか? 自分のキャリアアップを考えていくうえでは、現状をより正確に把握しておくことが必要です。

今回は、SAPコンサルタントが人材不足になっている現状について、IT人材一般に言われている「2025年の崖」、SAPコンサルタント特有の「2027年問題(旧2025年問題)」などの観点から、その背景を解説していきます。

日本における情報システムの「2025年の崖」

経済産業省は2018年9月に発表した「DX(デジタルトランスフォーメーション)レポート」のなかで、2025年以降に年間12兆円もの規模で経済損失が生じる可能性(2025年の崖)に触れ、2025年までにDXを実現するためにシステム刷新を急いで進めていく必要があるとしています。

このレポートによると、日本の約8割の企業がレガシーシステムを抱えており、約7割の企業がDX化が進まない理由にレガシーシステムの存在があると考えているようです。また、レガシーシステムに関する知識を有するIT人材は高齢化により退職者が増え、減少している状況も見られています。

これによってレガシーシステムがブラックボックス化してしまうと、保守運用コストが膨れ上がってしまいます。そうなる前にシステム刷新が必要であり、現在はDX化のためのIT人材の需要が大きく高まっている状況にあると言えます。

SAP製品にまつわる「2027年問題」

さらに、SAP特有の問題として、従来のSAP社のERPパッケージが2027年でサポート終了となる、いわゆる「2027年問題」があります。そのため、従来のSAP社のERPパッケージを採用している企業は、2027年までに最新のSAP S/4HANAへの移行を迫られています。

従来製品は1992年7月リリースのSAP R/3の流れをくんでおり、20年近くにもわたってバージョンアップを繰り返してきました。そのため、機能が追加されていくことでシステムが肥大化し、DXにおいて重要なリアルタイム性が損なわれるという問題が生じていました。

この問題を解決するため、SAP社はシステムを抜本的にリニューアルしたSAP S/4HANAをリリースしました。そして、クライアント企業に対してSAP S/4HANAへの移行を推奨するとともに、従来製品にサポート期限を設定しています。

SAP S/4HANAへの移行には専門知識が必要となるため、最新の知識を備えたSAPコンサルタントの力が欠かせません。そもそもIT技術者が不足するという環境のなかにSAP特有の2027年問題も加わり、SAPコンサルタントの人材不足は一層深刻になることが予想されているわけです。

スキルアップできる案件が豊富

SAP社が目指しているのは、企業全体でリアルタイムにデータを共有することで、最適な意思決定を可能にするリアルタイム経営の環境です。そのために、SAP社は高速なインメモリデータベースのSAP HANAを採用するとともに、AIやIoTなどの最新技術を積極的に取り入れています。

SAPコンサルタントは最新のSAP製品を扱っていくなかで、最先端の技術に触れる機会も自然と多くなるはずです。SAPコンサルタントとして案件に携わっていくなかで、さまざまな知識を身につけていくチャンスはたくさんあるでしょう。

急速にIT技術が進化していくなかで、競争力を維持するためにDXを実現することは企業にとって大きな課題です。そういった課題解決のニーズが豊富にある現在の環境のなかで、SAPコンサルタントとしていかに経験を積んでスキルアップできるかが、今後のキャリアを占ううえではもっとも重要となります。

SAPコンサルタントから築くキャリア

今回は、SAPコンサルタントが人材不足と言われている背景を紹介したうえで、SAP社の特徴についても簡単に触れました。SAPコンサルタントの需要は今後高まることが予想されるため、しばらくは売り手市場の状態が続くことでしょう。

もちろん2027年においてピークを迎えると、需要の落ち込みが生じる可能性があるかもしれません。しかしながら、SAPコンサルタントとしての案件が豊富にある現在は、スキルアップしていく環境としてやはり望ましいと考えられます。

知識や経験を豊富に積むことができれば、SAPコンサルタントとしてステップアップしていくことはもちろん、他の職種に羽ばたいていく可能性も広がっていきます。ご自身のキャリアを長期的に見ながら、最適な答えを導き出してほしいと思います。

(画像は写真ACより)