SAPのERPパッケージは対応する業務によって、ロジスティクス系・会計系・人事系・分析系等のモジュール群に分かれています。このうち会計系は、会計取引に係る企業全体の情報を集約する、ERPパッケージとしての中核的な機能を担っています。

この会計系において中心となるモジュールはFI(財務会計)とCO(管理会計)の2つですが、その他にも会計業務を支えるモジュールがいくつか存在しています。今回は、FIとCO以外の会計系モジュールについて、機能の概要を紹介していきます。

会計業務を補助するモジュール

会計系モジュール群の役割は、企業活動に係るすべての情報を集約して会計数値として取りまとめることです。外部公表用の決算書の作成や債権・債務の管理を行うFIと、内部管理のための会計処理を行うCOが、会計系における中心的なモジュールです。

基本的にはFIとCOで一通りのプロセスはカバーされていますが、より充実した機能を提供するモジュールが会計系にはいくつか存在しています。それが、TR(財務・資金管理)、IM(設備予算管理)、EC-PCA(経営管理:利益センタ会計)といったモジュールです。

TRは、FIの債権・債務の情報を使って資金管理を効果的に行う機能を持っています。また、IMは、FIで把握する固定資産について、投資を行う段階での管理を行う機能を持っています。そして、EC-PCAは、COにおいて行われる分析を補強する機能を持っています。

3つのモジュールを個別解説

会計系のFI・CO以外の3つのモジュールについて、それぞれの関係と大まかな機能を紹介しました。それでは、それぞれのモジュールについて、より詳細な中身について見ていきましょう。

TR(財務・資金管理)

TRは、FIにおける債権・債務の管理に関連して、現金・預金の残高や得意先からの入金予定や仕入先への出金予定の把握といった、資金繰りを円滑に管理するための機能を持ってきます。主要な機能としては、資金管理ポジションと流動性分析があります。

資金管理ポジションは、現金・預金の管理する単位を定義したうえで、その単位ごとにリアルタイムで実績金額を確認する機能です。残高や指定期間における増減を把握することができ、現金や銀行口座に必要な残高を確保しておくために必要な情報を提供します。

流動性分析は、分析の対象とする計画グループを定義したうえで、計画グループのなかで入出金予定を把握する機能です。期日ごとの入金・出金が表示可能で、資金管理担当者はリアルタイムに有用な情報を入手することができます。

IM(設備予算管理)

IMは、完成までに時間のかかる設備投資・研究開発に関して、投資した金額の管理を行う機能を持っています。投資予算を立てたうえで、予算通りに設備投資・研究開発が進んでいるかどうかの予実管理を行うことができます。

一度策定した予算は、状況に応じて追加・削除といったかたちで調整を加えることができます。大規模な案件になると複数の会社での共同開発になる場合もありますが、さまざまなケースに柔軟に対応して管理できるのも特徴です。

設備が完成したら固定資産等に振り替えて、FI-AA(固定資産管理)モジュールで管理することができます。FI-AAの前段階における管理に対応しており、FIの機能を拡張するような位置づけのモジュールと言えるかもしれません。

EC-PCA(経営管理:利益センタ会計)

EC-PCAは、内部管理用に定義する利益センタというグループのなかで、発生する収益・費用を分析することを目的としたモジュールです。利益センタに関する設定によって、分析の目的に応じた情報を柔軟に把握することが可能です。

COには、原価がどのように発生しているかを把握できるCO-OM-CCA(原価センタ会計)というものがあります。CO-OM-CCAは費用を把握するのが目的のモジュールでしたが、EC-PCAは利益の管理が目的となっており、分析対象は費用だけでなく収益も含んでいます。

このように、EC-PCAはCOではカバーしていない領域の分析を行う機能を持っているモジュールです。COと合わせてEC-PCAを利用することで、より深みのある分析をすることができるようになります。

FI・COと併せて押さえておきたい

今回は、会計系モジュール群のなかで、FI・CO以外のモジュールにスポットを当てて紹介してきました。FI・COは会計業務において欠かせない機能をカバーしていますが、今回紹介したモジュールの機能も有用なものばかりです。

SAPコンサルタントとしての価値を高めるうえで、優先度としてはやはりFI・COのほうが高いところがあるでしょう。しかし、併せてこれらの周辺モジュールの知識を予備的に身に付けておくことは、自分自身の付加価値を高めるポイントになるかもしれません。

幅広い知識を持つことは、SAPコンサルタントとしてステップアップしていくうえで重要です。FI・CO以外の会計系モジュールについても、機会があればしっかり勉強しておくことをおすすめします。

(画像は写真ACより)