SAPのERPパッケージは、機能ごとにロジスティクス系・会計系・人事系・分析系といったモジュールに分かれています。それぞれの情報がリアルタイムに連携されるため、企業全体として最適な意思決定が可能になるのが特徴です。

今回は、このうちHR(人事管理)という人事系モジュールにスポットライトを当てて、機能の概要を紹介していきます。人事は企業を支える重要な分野でニーズも高いので、興味を持った人はぜひチェックしていただければと思います。

HRモジュールの全体像

人事管理の業務は多岐にわたり、社員の採用、社会保険や福利厚生等の管理、人材育成、勤怠管理や給与計算、人事評価、異動・昇給・昇進の管理といったものが挙げられます。HRは、これらの業務を包括的に管理するモジュールです。

HRに含まれる主要なサブモジュールとしては、例えばPersonnel Management(人材管理)・Time Management(勤怠管理)・Payroll(給与管理)・Training and Event Management(トレーニングとイベント管理)等があります。

なお、HRにおいて人事管理業務を進めていくなかで、従業員に対する給与の支払いは重要な会計取引になります。これらの人件費関連の情報は、会計仕訳に変換のうえFI(財務会計)へと連携されていくことになります。

4つの主要モジュールを個別解説

HRには多くのサブモジュールが含まれており、各モジュールが互いに連動して動作するのが特徴です。ここでは、最初に押さえておきたい重要なサブモジュールを4つピックアップして、それぞれの機能の概要を紹介していきたいと思います。

Personnel Management(人材管理)

Personnel Managementでは、まずは人事管理の基本となる従業員に関する情報を管理します。そのうえで、従業員の採用管理、採用した従業員のスキル管理、キャリアプランの見直し、タレントマネジメント等のコア業務を行うことができます。

また、人件費計画の策定、予算管理といった機能もあり、費用面で企業業績に直結する人件費もついても管理することになります。その他、福利厚生の管理、年金基金の管理、報酬管理の業務もサポートしています。

Time Management(勤怠管理)

Time Managementは、日々の従業員の勤怠状況を管理するためのサブモジュールです。出勤・欠勤状況、有給休暇の取得、勤務時間、残業時間、遅刻といった情報を、すべての従業員について収集します。

あらかじめ管理者が出勤日をスケジュールとして登録しておき、従業員が勤怠状況を日々入力していくというのが大まかな流れです。集計された勤怠情報はPayrollのほうに連携されて、給与計算において使用されることになります。

Payroll(給与計算)

Payrollがサポートするのは、給与計算・賞与計算・年末調整・退職金計算といった業務です。給与や賞与は、従業員ごとに登録されている報酬に関するマスター情報をベースに、Time Managementで集計された勤怠情報を使って、自動で算出されます。

算出された情報はFBデータとして出力することができ、従業員に一括で振り込むことも可能です。確定した給与や賞与の支払い情報からは会計仕訳情報が自動生成され、FIへと連携されていくことになります。

Training and Event Management(セミナー管理)

人事部は人材育成や法改正への対応等のためにセミナーを開催しますが、これをサポートするのがTraining and Event Managementです。セミナーの企画から始まり、参加者の管理、会場や機材の手配、予算実績管理まで一通りの機能をカバーしています。

SAP SuccessFactorsもチェックしよう

今回は、SAPのERPパッケージに含まれている人事系モジュールを紹介してきました。従業員の基本情報の管理や勤怠データから給与計算の流れ、人件費に関する会計仕訳がFIへ連携される部分等、大まかな構造を押さえてただければと思います。

なお、SAPは2012年に米国の人事管理ソリューションを提供するSuccessFactors社を買収し、SAP SuccessFactorsとしてクラウド版の人事管理ソリューションを提供しています。そして、このSAP SuccessFactorsは、従来のHRとも置き換えることが可能です。

今後については、SAP SuccessFactorsのほうが主流になっていくことが考えられます。そのため、人事管理の領域に興味のある人は、HRの基本構造を押さえたうえで、SAP SuccessFactorsについてもしっかり情報収集しておくことをおすすめします。

(画像は写真ACより)