企業活動にはさまざまな物品が必要となりますが、この調達を行うのが購買管理プロセスです。購買管理プロセスでは、必要な物品を適切な品質で安定的に、そして、できるだけ安い価格で調達することが求められます。

企業が高い顧客満足度を得ながら収益性を向上させていくうえで、購買管理プロセスが有効に機能していなければなりません。そのために活用されているのが購買管理システムというわけです。

今回は、この購買管理プロセスに関して、まずは基本的な業務の流れやシステム導入の目的を解説します。そのうえで、SAPのERPパッケージにおける購買管理プロセスの概要についても紹介していきます。

購買システムの目的

購買管理プロセスのミッションは、企業活動に必要となる物品を調達し、必要となる部署に適切なタイミングで過不足なく届けることです。これを効率的かつ確実に行うために導入されるのが、業務フローを体系化することができる購買管理システムです。

一般的に購買業務では、各部門が調達する必要のある物品に関して、購買部門に対して購買依頼を投げるところから始まります。購買部門はこの購買依頼に基づいて、購入先に対して見積依頼を行います。

見積書を受け取ると、品質や金額、納期といった観点から最適な購入先を選定し、発注を行います。発注した物品が納品されると、倉庫部門にて検収が行われます。さらに、購買部門は購入先から届く請求書が問題ないか確認のうえ、経理部門に回していきます。

このように、購買管理プロセスは会社や部門をまたぐやりとりが多く、煩雑になりやすいフローです。購買管理システムを導入することで、業務フローの画一化、スムーズな情報伝達が可能となるため、ミスを最小限に抑えながら効率的に業務を遂行できるようになるわけです。

SAPにおける購買プロセスの概要

SAPのERPパッケージにおける購買管理プロセスの機能は、主にMM(在庫・購買管理)モジュールが提供しています。基本的な流れとしては、購買依頼・見積依頼・購買発注・入庫検収・請求書照合というかたちです。

それでは、それぞれの機能について概要を見ていきましょう。周辺業務も含めて説明していくので、データがどのように連携されていくかを意識しながらチェックしていただければと思います。

購買依頼

購買依頼とは、各部門において物品が必要となった際に、「何をいつまでにどれだけほしいのか」という情報を入力して購買部門に伝える機能です。この購買依頼が妥当なものかを確認したうえで、購買部門において調達活動が進められることになります。

購買依頼データは各部門が手入力するかたち以外にも、自動生成されるパターンがあります。例えば、PP(生産管理)モジュールにおけるMRP(資材所要量計画)の機能で生産計画に必要な原材料を計算し、それに関連する購買依頼データを自動生成するといったことができます。

見積依頼

購買依頼を受けると、購買担当者はどの購入先から購入するかを決めるために、見積書を取得することになります。その際に使用されるのが見積依頼の機能で、購買依頼データに基づいて見積データを作成します。

購買先から届いた見積書に基づいて、見積データには納期や価格といった情報を追記することができます。これらの情報に基づいて、購買担当者は最適な購入先を選定し、次の購買発注のプロセスに進んでいきます。

購買発注

購入先に対して発注を行う際には、購買発注の機能が使用されます。購買発注データは購買依頼データや見積データを参照して作成することができ、この情報に基づいて発注書や契約書が作成され、購入先に対して送付されることになります。

なお、購買発注に至るまでの流れについては、さまざまなパターンを用意することができます。例えば、購買依頼を行うと自動で購買発注データが生成されるといったフローも可能です。このようなかたちで、承認フローは購買内容によって柔軟に対応できるようになっています。

入庫検収

発注した物品が購入先から納品されると、倉庫部門において検収作業が行われます。検収して問題なければ、在庫として受け入れることになります。この際に使われる機能が入庫検収で、入出庫データを生成して、在庫数値を更新します。

この入庫検収に際しては、同時に会計仕訳が生成され、FI(財務会計)モジュールに連携されます。生成される仕訳は「在庫/入庫請求仮勘定」で、いったん貸方に仮勘定をはさむかたちになっています。

請求書照合

物品が納品されると購入先からは請求書が届くことになりますが、購買担当者は自社で検収した内容と請求書を照合することでチェックを行います。この時に使用されるのが、請求書照合という機能です。

この機能によって、重複することなくすべての入出庫データが請求書に対して紐付けることができます。そのため、入出庫データが重複して請求されることを防止し、二重支払いを避けられるようになっています。

なお、請求書照合を行うと会計仕訳が生成され、FIモジュールに連携されます。生成される仕訳は「入庫請求仮勘定/買掛金」で、入庫検収時の仮勘定を相殺するとともに、買掛金が計上されるかたちです。

この後のステップとして、経理部門における買掛金に対する支払いがあります。この支払いが完了したタイミングでは、「買掛金/現金預金等」という債務を消し込む会計仕訳が生成されることになります。

自社にフィットした購買管理システムの導入を

企業にとってスムーズかつ効果的な購買業務は、無駄な出費を抑えるだけでなく、企業活動の収益性を向上させるうえでも重要なことです。これを実現するうえで、購買管理システムを導入することはとても有効な手段です。

SAPのERPパッケージでは、MMモジュールを中心に購買管理に関する機能が提供されています。部門をまたぐ煩雑な購買業務を、周辺業務と連動させながら統合的に管理できるかたちになっているのが特徴です。

購買管理プロセスを改善するうえで、購買管理システムが果たす役割は大きいと言えます。どういった購買管理システムが自社にフィットするのか、さまざまなソリューションを幅広く検討することをおすすめします。

(画像は写真ACより)